今や広く周知されてきている「住宅ローン控除制度」。
しかし多くの方が、名前は聞いたことあるけど詳しくは知らない、という状況ではないでしょうか?そして、実は2019年10月の増税後、控除の内容が変わっているということを知っている方はまだまだ少ないかと思います。
「消費税も上がったから、お家を買ったり、大規模なリフォームをするのはちょっと見送ろうかな…」と考えている方も、増税後の「住宅ローン控除制度」の内容を知れば安心していただけるかもしれません!
そこで今回は、「住宅ローン控除制度」の基本的な内容のおさらいと、増税後の変化について分かりやすくお伝えしたいと思います。

ちなみに、この制度の正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言いますが、広く知られている「住宅ローン控除制度」という名前を今回の記事では用いようと思います。

そもそも「住宅ローン控除制度」とは?   

「この控除を受けると、ローン支払いが安くなるんでしょ?」
お客様の多くが、「住宅ローン控除制度」について上記のように捉えられているかと思いますが、実際はローンの支払金額そのものではなく、所得税から控除を受けることになります。

簡単にまとめると、「住宅ローン控除制度」」とは、

”毎年末の住宅ローン残高(もしくは住宅取得対価)の1%を10年間、所得税から控除する”というものです。

たとえば、住宅ローン残高が2,000万円だった場合、なんと20万円(残高は年々減っていくので控除額も少しずつ下がっていきます)×10年=200万円近くの控除が受けられる、ということ。
なお、控除額(上記の例ですと20万円)が予定されている所得税額を上回る場合は、住民税からも控除される仕組みになっています(※上限有り)。

さて、今回重要になるポイントは、上記で10年としている控除期間。
ここが2019年10月以降、変更になった部分です。

 

2019年10月以降の控除期間は何年間?


2019年10月、消費税が8%から10%に変わりました。

もともと「住宅ローン控除制度」とは、住宅ローンを使用して住宅を購入もしくはリフォームした人の負担を軽減させる、という目的のもと生まれた制度です。
つまり、消費税が上がったということは、その分取得者の負担が増えることになるので、その分も控除する必要があります。

そう考えるともう答えが分かると思いますが、所得者の負担を減らすため、控除期間が延長されたのです!
延長されたのは3年間で、控除期間は10年から13年に拡充されました。

上記の例を再度考えてみましょう。
先ほどの10年間の控除を受けた場合の例では、200万円近く控除される、という結果になっていましたよね。
ここからさらに3年間控除されると考えると、住宅ローンへの不安がさらに薄れるのではないでしょうか。

しかし!この制度を利用するにあたっては、様々な要件があります。
次は、その様々な要件や注意点を記載いたします。

 

「住宅ローン控除制度」を受けるために必要なこと


控除を受けるために必要な要件の概要をまとめていきます。

まず大前提と要件は以下の通り。
・自ら居住するものであること。
→住宅ローンは自分で組んだが、住むのは子供や両親といった場合、また、普段居住しない別荘やセカンドハウスも控除の対象からは外れます。
・床面積が50㎡以上あること。
・耐震性能を有していること。
→現在の建築基準法に基ずく新築住宅は問題ありませんが、中古住宅を取得する場合は要注意。築年数が古いと、現在の耐震基準を満たしていないと判断される場合があり、その場合は、必要な耐震基準を満たしているという証明書や、性能評価書の提出や、耐震基準を満たすことで加入できる瑕疵(かし)保険への加入することが必要になってきます。

また、借入や所得額への要件もあります。
・ローン借入の償還期間が10年以上であること。
・合計所得額が年間3,000万円以下であること。
→年間所得がその年によって大きく変動する、という方の場合は、年間所得が3,000万円を超えた年は控除されない、超えなかった場合は控除される、というようになります。
・増改築(リフォーム)でも住宅ローンを利用する場合は本制度の利用が可能ですが、工事金額が100万円以上でないと控除を受けられません。

このように、住宅そのものへの要件、そして借入する人への要件がありますので、住宅ローンを利用する際は、銀行や不動産会社のスタッフと一緒に確認した方が良いかもしれませんね。

 

控除を受ける際の手続きについて


住宅ローン控除を受ける際の最初の手続きは、お家に入居した翌年の確定申告時に必要書類を提出し申請するようになります。
なお、給与取得者の場合、2年目以降は年末調整の際にローン残高証明を提出することで控除を受けることができます。

ここでは、初回の確定申告での申請方法について簡単に説明していきます。
まず大まかな流れは以下の通りです。
①住宅を取得(住宅ローンの利用スタート)
②住宅に入居(6か月以内に入居する必要があります)
③添付書類の入手
④翌年の確定申告時に③で入手した書類を添付、申請

添付書類とはどういったものか、下記で紹介いたします。
・住民票の写し
・残高証明書
・登記事項証明書
・売買契約書、工事請負契約書
・源泉徴収票等、給与やその他所得が分かるもの
・中古住宅取得の場合は、耐震基準適合証明書等の耐震基準を満たしていることを証明する書類

売買契約書などの書類は家を購入した際にもらうのですでに手元にある場合が多いのですが、住民票や残高証明書は各機関に申請して取得する必要があります。確定申告ギリギリになってしまうと、混雑していることもあり焦ってしまうかと思うので、事前に集められるものについては、なるべく早めに取得しておくことをお勧めします。

上記の書類をもって、確定申告に行きましょう。
この時初めて確定申告をする、という方も多くいらっしゃいます。心配なときは、国税庁のHPで確定申告についてまとめられているページを一読したり、税務署に確定申告について相談できるスペースが設けられるケースが多いので、不安な方は相談しながら進めましょう。

 

必須!自分が利用する時の制度内容を確認しましょう!

増税という大きなターニングポイントがあったことで、控除期間という制度の重要な部分が変わりました。
今後、控除期間だけでなく、その他の内容に変化が生じる可能性も十分あります。

住宅ローンを利用する時は、必ず制度の内容や各種要件について確認をとり、
いざ控除を受けるという時に、急遽他に必要な書類が出てきた、実は控除の対処になりません、といったトラブルを避けられるように気を付けましょう!

 

「住宅ローン控除制度」で新しい生活をさらに豊かに


住宅ローンを利用するというのは、新しいマイホームを購入した、普段住んでいるおうちを大きくリフォームした、という場合がほとんど。
つまり、生活空間ががらっと変わるというタイミングです。
少しでも控除を受けることで、例えば浮いた分の金額で旅行をしたり、憧れの家具を買ったり、家族で素敵なレストランにいったり…、気持ちも新たに、彩り豊かな生活を送る糧になると思います。
少し面倒だな、と思われがちな本制度ですが、ひとつひとつ確認して、申請をするだけ!是非積極的に利用していきましょう!

 

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